小野寺工業のチャレンジ

幾多の障壁を乗り越えて新事業開発に取り組む、メンバーとコンサルタントが織りなすドラマです

投資には「ポジティブ」と「ネガティブ」があり、ポジティブな投資は、将来に引き継ぐ価値を生み出すことで次の戦略を支える

「今日は投資についてお話させてください」 浦田は笠間たちOBFコアチームを前にしてこう切り出した。 岡を中心に進めている市場分析は順調に完成に近づいており、そろそろ投資計画を具体化しなければいけない時期だった。 「投資には、ポジティブな投資とネ…

目標はトップダウンで決めるものであり、それを達成するための手段は、達成の見込みが立つまでボトムアップで積み上げる

浦田と笠間が連れ立って飲みに行くのは、これが3度目だった。1度目は、浦田が変革活動に参加して間がないころ、2度目は組織改革の方針を社長が承認したとき、そして今回が3度目だった。 「今回のような目標設定のやり方は当社では初めてです。現場に落とし込…

事業部ごとにバラバラだった事業運営を、オファリングモデルの概念がひとつにまとめ上げる

新体制が承認されてからしばらく経ったある日、浦田は久しぶりにソフトウェア本部長の大島のもとを尋ねた。大島は、今回の変革活動に浦田を招き入れた人物であった。たまにメールで状況を報告してはいたが、この日は直接に会って説明しようと考えた。 大島は…

スポンサーシップなくして変革なし! 大組織のイナーシャは大きいが、意思決定のシナリオとスポンサーシップがあれば動き出す

海外事業の立ち上げが実行に移されようとしていたころ、笠間は変革活動に明け暮れたこれまでの半年間を振り返り、その成果を経営陣に報告した。 経営陣の支持を得られたことで、笠間たちOBFコアメンバーには落ち着いて考える時間がほんの少しだけ戻ってきた…

表面的な部分にばかり目を奪われていると、せっかくの変革施策は定着せずに終わってしまう 大切なのは、意識改革のような基礎工事にあたる部分だ

笠間たちの目の前には課題の山が広がっていた。 消極的スタートの汎用工作機事業は後回しにするとして、欧米の大型工作機メーカー向け加工制御装置事業だけをとっても以下の課題が残っていた。 加工制御装置ベースシステムの商品企画 コスト競争力の強化 大…

事業立ち上げには情報が欠かせないが、これがネックとなることは多い まずはクイックに動き、情報収集のための予算を獲得しよう

役員会では投資に対する議論が交わされた。 東南アジア向けの汎用工作機の開発、東南アジアにおける汎用工作機メーカーの買収、大型工作機メーカー向けの加工制御装置ベースシステムの開発にはまとまった金額の投資が必要となる。小野寺工業にとっては、どれ…

他社のベストプラクティスを安易に真似するだけでは、組織はバランスを失い、取り返しのつかない結果を招く

行きつ戻りつの議論の末、海外事業の事業モデルは以下の2つに絞り込まれた。 ① 東南アジア向けの汎用工作機事業モデル ② 欧米の大型工作機メーカー向けの加工制御装置事業モデル その内容はこうであった。 ① 東南アジア向けの汎用工作機事業モデル 機械化が…