小野寺工業のチャレンジ

幾多の障壁を乗り越えて新事業開発に取り組む、メンバーとコンサルタントが織りなすドラマです

ガバナンス

【 最終回 】[ 総まとめ ] オファリングモデルを活かした事業運営(5/5)

● 結局、定着のカギを握るのは現場の当事者意識だ オファリングモデルの導入は事業運営方法の刷新を意味する。これはまさに組織を上げての大仕事なわけで、ガバナンスに難のある日本企業がこれをトップダウンで実現するのは難しい。つまり、組織の観点と現場…

属人性を排除するにはガバナンスをシステムとして捉え、ガバナンスに関わる機能を総点検し、機能不全な箇所に手を打て

海外事業に属人性がはびこる最大の原因は、宿命的ともいえる事業の煩雑さにあった。煩雑さを解消するのも大変な上に、煩雑さを解消すれば問題が解決するかといえば、事態はそれほど単純ではなかった。 海外事業はガバナンスという点からも、手を打てる状況に…

煩雑さはそのままにそこに無理やり秩序を被せたところで、効率の悪さに現場は反発し、結果的に業務は回らなくなる

変革活動がスタートしてから2年が過ぎようとしていた。 すべてが順調なわけではなかったが、それでも海外事業は右肩上がりの成長を続け、低迷する国内事業を支えていた。しかし、この1年は成長が鈍化し、社内での不協和音も聞こえ始めていた。 「次なる改革…

投資には「ポジティブ」と「ネガティブ」があり、ポジティブな投資は、将来に引き継ぐ価値を生み出すことで次の戦略を支える

「今日は投資についてお話させてください」 浦田は笠間たちOBFコアチームを前にしてこう切り出した。 岡を中心に進めている市場分析は順調に完成に近づいており、そろそろ投資計画を具体化しなければいけない時期だった。 「投資には、ポジティブな投資とネ…

目標はトップダウンで決めるものであり、それを達成するための手段は、達成の見込みが立つまでボトムアップで積み上げる

浦田と笠間が連れ立って飲みに行くのは、これが3度目だった。1度目は、浦田が変革活動に参加して間がないころ、2度目は組織改革の方針を社長が承認したとき、そして今回が3度目だった。 「今回のような目標設定のやり方は当社では初めてです。現場に落とし込…

事業部ごとにバラバラだった事業運営を、オファリングモデルの概念がひとつにまとめ上げる

新体制が承認されてからしばらく経ったある日、浦田は久しぶりにソフトウェア本部長の大島のもとを尋ねた。大島は、今回の変革活動に浦田を招き入れた人物であった。たまにメールで状況を報告してはいたが、この日は直接に会って説明しようと考えた。 大島は…

スポンサーシップなくして変革なし! 大組織のイナーシャは大きいが、意思決定のシナリオとスポンサーシップがあれば動き出す

海外事業の立ち上げが実行に移されようとしていたころ、笠間は変革活動に明け暮れたこれまでの半年間を振り返り、その成果を経営陣に報告した。 経営陣の支持を得られたことで、笠間たちOBFコアメンバーには落ち着いて考える時間がほんの少しだけ戻ってきた…

表面的な部分にばかり目を奪われていると、せっかくの変革施策は定着せずに終わってしまう 大切なのは、意識改革のような基礎工事にあたる部分だ

笠間たちの目の前には課題の山が広がっていた。 消極的スタートの汎用工作機事業は後回しにするとして、欧米の大型工作機メーカー向け加工制御装置事業だけをとっても以下の課題が残っていた。 加工制御装置ベースシステムの商品企画 コスト競争力の強化 大…